顧客住所から、地理情報システム(GIS)を利用することによって、上図のような顧客点分布図を作成することができます。また、店舗と顧客間の直線距離もGISを通じて測定することができます。GISを利用した商圏設定では、顧客を距離の短い順に並び替え、顧客の6割を含む範囲を「一次商圏」、8割を含む範囲を「二次商圏」として設定します。図では、一次商圏と二次商圏を地図に落としており、この店舗では、一次商圏の半径は1,040m、二次商圏の半径は2,190mであることが判明しました。
このような商圏設定は、店舗経営にとって二つの意義を有しています。一つは、店舗の経営基盤を置いている地域の範囲を知ることであり、この店舗では、6割の顧客が1km圏から、8割の顧客が2km圏から来ています。もう一つは、商圏を形成しているさまざまな要因を理解することです。例えば、商圏内での顧客の分布を見ると、距離の近い一次商圏では密に、二次商圏では疎に分布しているのがわかります。これは、買物行動に対し「距離抵抗」が働いている結果であり、顧客の発生割合は距離に従って逓減するという「距離逓減の法則」に当てはまります。また、二次商圏では、南東部から西部にかけて、顧客はほとんど見られない空白地区が存在します。商圏分析では、商圏内でのこのような空白地区が形成される要因の考察も行います。